徒労だけは勘弁
創作日記と作品・・・も出来ればいいなあ
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半端者 その一
〜昼過ぎ〜

「くそ、暑いな」
そう言って俺は寝床から体を起こす。
カーテンの隙間から射す光が酷く鬱陶しい。
俺の生活は、この不景気で会社を整理解雇されてからは毎日変わらず、日もあがった昼過ぎに始まる。
起きたからといって何をするわけでもなくダラダラと子一時間ほど寝床でぼうっとするのが日課だ。
まあ、日課というほど高尚なものではないが。
いい加減ぼうっとするのにも飽きたのでカーテンを開ける。まぶしい。
忌々しいくらいに晴れた空、なぜか責められている様な気がして仕方が無い。
喉が渇いたので台所に行く。相も変わらず足の踏み場も無い部屋。掃除すれば良いのだろうがそんな気も起き無い。
台所に行く前にPCの電源を入れる。PCの周りも埃だらけだ、嫌になる。
流しに溜まっている洗い物から適当にコップを取り、軽く洗い水を注ぎそれを一気に飲み干す。
酷く不味い。
PCの前に座り煙草に火をつけ、メールをチェックする。
思ったとおりくだらない迷惑メールの類しか来ていない。
ブラウザを立ち上げニュースを見る。くだらないニュースばかり、誰それが結婚した、今の流行は、脱税、景気悪化、イラついてくる。
その後ネットサーフィンを子一時間、くだらない。
テレビをつけるがやはりくだらない番組しかやっていない、くそっ。

いい加減腹も減ってきた、当然自炊なんかしていないし、冷蔵庫も空なんだか妙に腹ただしい。
面倒だと思いつつも近所のコンビニに行く。
ドアを出ると抜けるような青空、照りつける日差し、世間一般じゃあ夏真っ盛りの気持ちの良い天気だとか言っているが俺には煩わしいだけだ。
「いらっしゃいませ」
今日始めて聞く他人の声、なぜか責められているような気がして仕方が無い。
『俺たちは働いているんだ、お前はどうなんだ?』
そう言われている気がする。
客は俺以外にサラリーマン風の男が一人立ち読みをしていた。
極力そちらを見ないように、適当にカップ麺と飲み物を取りレジに向かう。
労働を感じさせるものは見たくない。
「マルボロボックスください」
「はい、こちらでよろしいでしょうか」
「あ、はい」
今日始めて交わす会話、そしてたぶん今日最後の会話。
店を出るときにフリーペーパーの就職雑誌を手に取る。
誤魔化しだ、どうせ見るわけでもないのに。
アパートに帰る途中の道で楽しそうにお喋りをしている高校生とすれ違う。
自分の惨めな高校時代を思い出し辛くなる。
高校生たちが急に黙り、足早になり離れていった。
多分無意識に睨んでいたんだろう、良くある事だ。

アパートのドアを開けると、淀んだ空気と埃と汗と、そんな臭いが鼻を刺す。
循環していないこの空間だけの臭い、妙に安心する。
外に出た所為か妙に落ち着かない。
他人を見ると自分が惨めになる。
気分転換にとPCでポルノ動画を見るが興が乗らずすぐ消した。
本を見ても数ページと読んでいられず、ゲームをしても数分と持たない。
胸がざわついて仕方がない。
戦争でも起きないかな、そんなことを考えながら何の気なしにテレビを点ける。
テレビにラーメンが映った、どうやらラーメン屋の特集らしい。
この手の番組でよく見るタレントが、大げさなリアクションとともにラーメン屋を紹介している。
チャンネルを変えようとしたら、場面が急にスタジオに変わった。
どうやら緊急ニュースらしく、バタバタした雰囲気の中アナウンサーがニュースを読み始めた。

「本日先ほど、N共和国より日本に向け3発の弾道ミサイルが発射されました。繰り返します。本日先ほど、N共和国より日本に向け3発の弾道ミサイルが発射されました……」

そのニュースを聞いて俺はなぜか気分が高揚していくのを感じ呟いた。
「戦争だ」

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半端者 プロローグ
〜夜〜

「クソッ」
そう言って俺は何回目かの寝返りを打つ。
眠れるわけなんて無かった。
このまま起きてようか、何回目かのそんな考えを無視し枕に顔を埋める。
そんなことを繰り返しながら夜が白み始めるのを薄目で見る。
やっと眠れそうだ、まるで吸血鬼だな、そんなことを考えながら俺は目を閉じた。

なんのかんのとくだらないことを考えているうちに意識が無くなる。

救いなんかありゃしねえ。

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